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いくつかの誤解があったようなので最初に書いておきます。
まず、ロジスティック方程式はひじょうに簡略化したモデル計算です。実際の生態系というのはもっと複雑で、簡単に数式化して表せるようなものではないです。しかし、複雑だからといって一般化することを諦め、感覚的な議論に陥るよりは説得力があるように思います。
それから、これは連続的なモデルであって、実際の生態系は離散的(魚は常に増えつづけるわけではなくて、繁殖の時期は基本的に年1回でしょ)であるところも少し異なるところです。琵琶湖のような大きな湖の例では離散的であっても連続であると近似して考えることもできるでしょうが、小さな湖沼では再生産が行われる前に食い尽くされるかもしれません(極端な例ですが、10000匹のエサとなる魚がいるところに100匹のバスを放流したとして、バス1匹あたり年間100匹のエサを食べるとしたら、エサとなる魚が卵を産んで再生産する前に食べ尽くされちゃうでしょ)。
どこかに書いたかもしれませんが、私は生物学のプロフェッショナルではありません。象牙の塔の住人からみればモデリング計算もこのHPの内容も甘いものでしょう。しかし、素人感覚だからこそ、同じくほとんどが素人であろうバス擁護論を唱える人たちが持つ疑問点と共通する部分も多いと思うのです。どのような立場の人にとっても、疑問の解決の一助となればと思います。
簡単な話から始めます。
マルサス方程式
個体数xが現在の個体数に比例して増加するとすると
・・・@
と表すことができる。ここでaは増殖率とよばれ、@はマルサス方程式とよばれる。この式は変数分離形だから簡単に解くことができて
これは、時間の経過に伴って個体数は指数関数的に増加することを示している。しかしこれは現実的ではない。その理由は、個体数が増加するために必要なエサの量が有限であることなどを全く考慮しておらず、個体数が多くなるとそれら種々の原因からその増加は抑制されることを考えていないからである。これらの要因も含めて考えたのが、以下に述べるロジスティック方程式である。
ロジスティック方程式
@式を変形すると、
ただし
とおいた
となる。これは、個体数xあたりの増加率が一定であるとみることができる。しかし、これを解くと上のように指数関数的な増加を示すことになり、現実とは合わない。現実的には、個体数が増加すると、それを抑制する力が加わると考えた方が良い。そこで、個体数xあたりの増加率が個体数の関数であるとして
というモデルを考える。簡単のために、個体数に比例した抑制力bxが加わると考えると、
とおける。bは混雑定数とよばれる。これを代入して変形した以下の式をロジスティック方程式という。
・・・A
これを解くと、
(C0 は初期値に依存する定数)
となり、グラフは右のようになる(解法は文末参照)。
これは、数学的には、最終的にa/bという値に収束するということを示している。一見すると、最終的には安定するのだから問題ないようにも思えるが、それは時間軸を含まない短絡的な考え方である。現在の"自然な"生態系というのは、グラフでいえばほとんどa/bに漸近していることを指すのであろうが、移入種を他の生態系に入れた場合、t=0から問題を考えなければならない。議論の対象となるのは、「最終的に安定するかどうか」ではなく、「時間軸に沿った生態系の構造の変化」である。a/bが問題ない程度ならばよいのだが、以下に述べるように、時に大きな問題となる場合もあるからである。
まず、安定した状態とはどのような状態のなのかを見る。
例えば、ものすごく極端な例を挙げれば、マンボウは3億個(300,000,000個!)の卵を産むという。これはaが大きいということを示しているが、海がマンボウだらけにならないのは、産んだ卵や子どものほとんどが他の魚や無脊椎動物に食われてしまい、大人になるのはごくわずかだからである(つまり、bも大きい)。
ブラックバスの場合、食肉魚にもかかわらず親が卵を守るという、魚にしては珍しい?性質を持っており、産卵数は多くなくてもaの値は他の生物よりも大きいであろうと考えられる。それでも原産地がバスだらけになっていないのは、bを大きくするような要因(天敵の存在など)があるからであり、その結果安定した生態系の一部として機能していると考えられるからである。
さて、問題なのはこれを他の系に入れたときである。以上に挙げた例では、時間は実質的に∞であると考えられたが、他の系に入れた場合、t=0から始まるから、生態系へ何らかの変化を及ぼす可能性をもっている。他の系へ種を移入させても基本的にはaの値は変わらないのに対して、bの値は環境によって変動する。一般に、外来種を他の環境に入れることは、その種にとって致命的であるが、時に元いた地域よりも新しい環境の方がその種にとって優れている場合がある(※1)。バスの場合、原産地では大きかったbが、他の生態系ではこれといった天敵もおらず食物連鎖の最上位にくるために小さくなる可能性がある。これにより時間の経過に伴ってバスが爆発的に増え、逆に在来種が減る、時には絶滅するという問題が生じるのである。
※1参考
There are several reasons, but most important is that aliens find themselves
in an environment different from that in which they evolved. Usually such a
drastic change in environment is fatal to an alien. Occasionally, however,
conditions are superior to those in the native land. In particular the alien
animal or plant is normally free of the diseases, parasites and predators which
keep its numbers in check in its natural environment. Under these conditions
populations can explode with the invaders overwhelming the indigenous fauna and
flora, usually by crowding it out.
いくつかの理由があります、しかし最も重要なのは、外来種がある環境の中に見られるということは、その種が進化した場所にいるということとは異なるということです。通常、そのような環境の急激な変化は、外来種にとって致命的です。しかしながら、時には、(外来種にとっての)在来の土地の状況よりも新しい環境条件の方が優れていることがあります。特に、外来の動物もしくは植物には、通常、在来環境の中でその数を抑制していた病気・寄生虫・捕食者が存在しません。こういった条件の元では、その数は、侵略種が在来の動物相、植物相を圧倒し、排除しながら爆発的に増えることができます。
ロジスティック方程式に関しては、以下のサイトも参考になります。また、リンクに挙げた書籍も読むと良いでしょう。
http://www2.saganet.ne.jp/westmt/math/logistic.pdf
http://216.239.33.100/search?q=cache:hap9ovfJ_SkC:sun1.maizuru-ct.ac.jp/natural/ito/diff_excel/
http://www.math.chs.nihon-u.ac.jp/~mori/java/diff/differential_equation.html
変数分離形に持っていけばよい
より
ただしC0
は初期値に依存する定数
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