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日本環境年間2001より

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『日本環境年間 2001年版』 創土社年間編集室/創土社 p151〜

移入種

規制はほとんどない

 人間の手により本来の生息地でない場所に持ち込まれた国外、国内の移入種が、日本各地で野生化し、繁殖している。移入種による漁業や農業への被害も増えている。移入種の最大の問題は長年かかって形成された地域固有の生物相を乱すことにある。アフリカのビクトリア湖では1種の移入種のために300種以上が絶滅したという。進化の過程では起こりえない遺伝子汚染も重大な問題だ。青森県の下北半島のニホンザルとタイワンザルの交雑、沖縄本島にしか生息しないはずのカメと石垣島のカメとの交雑などは見た目に分かるが、目につかないところの遺伝子汚染がどれほどあるか。
 00年5月にケニアで開かれた「生物多様性条約」の第5回締約国会議では、各国に野生化した移入種の影響を防ぐ対策を求める中間指針が採択された。指針は02年に開かれる次回会合で正式決定される。
 日本には移入種規制はほとんどない。環境省は8月に専門家による移入種問題検討会を設け、2年がかりで対応策を検討し、ガイドラインをつくることにした。

ブルーギルやブラックバスで在来魚ピンチ

 北米産の外来魚が日本の河川や湖沼に蔓延し、生態系に影響を与え、漁業に被害を出している。
 ブラックバス(オオクチバス)は50年に食用として神奈川県の芦ノ湖に放流された。成長すると50cmほどになる。肉食性で成魚を好んで食べる。ブルーギルは60年に北アメリカから移入され、伊豆半島の一碧湖に放流されたのが最初だという。体長は10〜20cmで、ブラックバスよりも小型。水質の悪い環境でも生息でき、産卵数も多い。雑食性で成魚は食べないが、稚魚や卵を好んで食べる。ブラックバスとブルーギルの生息地域は重なることが多い。コクチバスは90年代に国内に放流されたといわれる。ブラックバス(オオクチバス)よりも口が小さくて細い。成魚は体長約50cmになる。流れの速い渓流を上り、ヤマメやイワナを食い荒らす。
 ブラックバスはバス釣りマニアによって各地の河川や湖沼に放流され、今では全国都道府県で確認されている。バス釣りの人気は高い。釣りのトーナメント大会で賞金を稼いだり、釣具アドバイザーとして収入を得るプロもいる。バスプロを目指す人のための専門学校まである。ブルーギルも釣りマニアに人気があり、釣りマニアなどによって各地に放流された。ブラックバスよりも河川への浸出力、定着力があるという。97年の全国内水面魚連の調査によると全国33都府県で生息が確認された。東北地方では岩手県と秋田県だけが確認されなかったが、99年秋には秋田県の米代川水系のアユのヤナ場にブルーギルらしい魚がかかっていたことがわかった。コクチバスも当たりが強くルアー愛好家に人気が高い。ブラックバスやブルーギルと同じように密放流されて生息地が広がっている。
 滋賀県の琵琶湖には、成魚を好むブラックバス、稚魚と卵を好むブルーギルの両方が生息している。92年に1295トンあった在来のフナやモロコ類、エビ類の漁獲量は、98年には441トンに激減した。これらの外来魚が増えたのは琵琶湖総合開発と関係がある。治水と利水などを目的に湖底を浚渫して水深を深くし、周囲を人工護岸にした。その結果、琵琶湖の自然護岸は40.8%になった。在来の魚の多くは水生植物などに卵を産みつける。しかし在来のセンニンモやネジレモ、エビモなどの水草は人工護岸では育ちにくい。いま繁殖しているのは北米産のコカナダモばかりだ。コカナダモは光の届かない暗い場所でも育つ。ブラックバスやブルーギルは水深が急に深くなる人工護岸でも繁殖できる。湖内の生態系を変えたのは、琵琶湖を外来魚の繁殖しやすい環境に変えた開発だといえる。
 大阪府は00年5月1日からブルーギルとブラックバスの無許可放流を禁止した。違反者は6ヶ月以下の懲役、または10万円の罰金を科せられる。大阪府が禁止したことにより、外来魚が確認されているすべての都府県で無許可放流が禁止されたことになる。
 外来魚の進出は鳥類にも影響を及ぼす。環境省が00年8月9日にまとめた「鳥類生息分布調査」の中間報告によると、ヒバリやモズ、カイツブリなどの平地にすむ野鳥の繁殖地が過去20年間で大幅に減少していることがわかった。分布調査は「緑の国勢調査」の一環で、同庁の委託で日本野鳥の会が97〜98年度にかけて調査し、72年度の調査データと比較した。大幅に繁殖地が減ったのはヒバリやモズ、カイツブリなど7種。そのうちカイツブリの繁殖地は182ヵ所から95ヵ所に減った。カイツブリの減少は九州、四国、中国、近畿で目立ち、外来魚によってエサの小魚が食べられてしまうことが影響しているという。
 埼玉県では7月3日に荒川の秋ヶ瀬取水堰下流でコクチバスが見つかった。釣り人の通報をもとに、県農林総合研究センター水産支所が調査したところ、近くの流域で成魚4匹が捕まった。県内水面漁場管理委員会は10月10日、県内の荒川、入間川、越辺川の3河川でコクチバスの再放流や持ち出しを指示する告示を出した。委員会の指示に法的効力はないが、知事に申請することで、知事は指示に従うよう命令することができる。違反者は1年以下の懲役に科せられる。


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