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ニュージーランドの生物多様性国家戦略について

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リリ禁ネットにおいて、ともも氏の
3.生物の多様性に関する条約について
 この条約第8条(h)により
生態系、生息地若しくは種を脅かす外来種の導入を防止し又はそのような外来種を制御し若しくは撲滅すること。
 とされており、またブラックバスが環境省の有害鳥獣に指定されていることから、日本が条約締結国である以上これを「駆除しないこと」や「リリ禁条例に従わず放流すること」は、条約趣旨並びに公共の利益に反するのではないか。

という指摘に対する反論として清水國明氏が
生物多様性条約を批准した国でも、例えば、ニュージーランドでは、国外移入種のトラウトの聖地となっています。すべて白人が持ち込んだものです。
デラシネさんの投稿にあった「ライセンス制では、体長21cm以下はリリース」というのはスペインのことだと思いますが、このスペインも批准国であり、同じく国外移入種である他ならぬブラックバスを保護して、ライセンス制を採用しています。

という書き込みをされました。さらにこれに対して岩田氏が
生物多様性条約というのは、移入種、特に侵略的移入種の無秩序な拡散による生態系への影響を危惧するものであって、管理されたもとでの移入種利用自体を否定するものではありません。ですから、それらの国でもどのような方法で利用されているのかが問題となります。また、日本におけるセイヨウタンポポのように対策ができないほど拡散してしまっている可能性もあります。それぞれの国について、どういった現状であるのかご存知でしたらよろしくお願いします。

という質問をされたのですが、これに対する清水國明氏の返答は今のところなしの礫です。私個人として興味があったので調べてみました。

<予備知識>
http://hiroshima.cool.ne.jp/lobster3/fish/fishing2.htm
NZの河川や湖などの釣りは、環境保護庁(Department of Conservation) に属する Fish and Game Council により 統括されており、ニュージーランド全国を 12地域に分割し、それぞれの地域に応じた 漁獲数量、漁獲時期、漁獲サイズなどの 規制 や 環境保護 などを 行っている。

ちなみに、Game Fishing の対象とされている魚種は、レインボー 及び ブラウン トラウト(鱒)、白魚、河川遡上の鮭 などとなっており、各地域での 「釣り」をするには、それぞれの地域で規定されている 「釣りライセンス」を購入する必要がある。


http://welcome2nz.com/fishing/regulation_right.htm

NEW ZEALAND FISH AND GAME COUNCILについて

1987年(1990年に改正)、自然保護法の制定により、淡水魚(スポーツフィッシングの対象)、および猟鳥類の保護管理を行う機関として「New Zealand Fish & Game Council(NZFGC)」とその12地域、それぞれにCouncils(評議会)が設置されました。
これにより、このNZFGCは国および12の支部と密接な関係を持ちながら淡水魚と猟鳥類の管理にあたることになります。「釣り」に関し、何をするのか簡単に説明しますと、まず、Regulationの設定。ライセンスの発行。自然資源の調査および回復のためのプログラムを行う(放流事業)。などがあげられます。
ここで特筆すべきは、このNZFGCが公の機関であること、そしてこの公的機関がNZ全土(一部を除く−タウポ)の淡水魚に関し、一括して管理していることです。

NZ Ministry for the Environment http://www.mfe.govt.nz/
NZ環境保護庁 Department of Conservation http://www.doc.govt.nz/index.asp
 NZ生物多様性国家戦略 http://www.doc.govt.nz/Conservation/The-New-Zealand-Biodiversity-Strategy/index.asp
NZ biodiversity Information Online Website http://www.biodiversity.govt.nz/

 <予備知識>にしたがってNZ環境保護庁を検索し、そこから生物多様性国家戦略のリンクを辿ったところ、生物多様性に関する独立したページがあることがわかりました。そこでトラウト(trout)について検索したところ以下の記述を見つけました。

トラウトと固有の生態系に関する記述http://www.biodiversity.govt.nz/picture/doing/nzbs/part-three/theme-two.htmlより抜粋。
Cultural and economic values and awareness of freshwater biodiversity
淡水域の生物多様性の認識と文化的・経済的価値

New Zealanders hold a range of cultural and economic values in relation to freshwater environments and fisheries that can both complement and conflict with the conservation of indigenous biodiversity.
ニュージーランドは、固有の生態系の保存と対立することも補完することもできる淡水域の環境と漁業に関する一連の文化的・経済的価値を保有しています。

Trout and indigenous biodiversity
トラウト(マス)および固有の生物多様性

Trout were first introduced into New Zealand in 1867. They were liberated widely and are now present in nearly all freshwater systems throughout the country except on Stewart Island. Trout are the backbone of New Zealand's freshwater game fishery. However, they have also had significant adverse impacts on indigenous freshwater species and ecosystems, and their continuing effects are not fully understood.
トラウトは、1867年ニュージーランドへ最初に導入されました。それらは広く解放され、現在ではスチュアート島を除く国内のほとんどすべての淡水系に存在します。トラウトはニュージーランドの淡水のゲームフィッシングの中軸をなしています。しかしながら、トラウトはまた固有の淡水生物と生態系に対する重大な悪影響を及ぼしており、その連続的な影響は完全には理解されていません。

The effects of trout on indigenous freshwater biodiversity are considered under the Conservation Act as part of the process of preparing sports fish and game plans for approval by the Minister of Conservation, or in the case of national parks and reserves, as part of DoC's management plan reviews. Fish and game councils, DoC, iwi authorities※1, regional councils, territorial local authorities and members of the public all have an opportunity to participate in these processes.
トラウトの固有の淡水系の生物多様性に対する影響は、保存大臣(Minister of Conservation;環境保存庁の大臣のことと思われ)に承認してもらうために“スポーツフィッシュとゲーム計画”を準備してきた過程の一部として、国立公園や保存地域の場合には、DoC(Department of Conservation;環境保存庁)の管理計画の検討の一部として、保護法(the Conservation Act;法律)の元で考慮されてきました。Fish&Game Council(団体名),DoC(団体名),マオリ族の部族の会議(団体名),州議会,地方自治体,および国民はすべて、これらのプロセスに参加する機会を持っています。

The New Zealand Fish and Game Council has adopted a policy that trout should not be introduced into catchments where they are not already present. On the basis of current knowledge about the interaction between trout and indigenous freshwater biodiversity, the New Zealand Biodiversity Strategy does not promote a significant reduction in the current distribution of trout. However, in some places (at the margins of their distribution) where trout threaten indigenous species or the natural character of pristine ecosystems, they may need to be reduced or removed.
"New Zealand Fish and Game Council※予備知識参照"は、トラウトがまだ存在していない流域への導入はなされるべきではないという政策を採用しています。トラウトと固有の淡水系の生物多様性の間の相互作用に関する現在の知識に基づいて、ニュージーランド生物多様性国家戦略は、トラウトの現在の分布状態を有意義に減らすことを促進しません。しかしながら、トラウトが固有種あるいは原始生態系の自然な特徴を脅かすような一部の地域においては(分布の限界点)、トラウトを減らすか取り除いてしまう必要があるかもしれません。

A significant part of the work of fish and game councils is concerned with protecting and enhancing habitat for trout, which usually also benefits the indigenous species that live in these places.
"Fish and game council"の仕事の重要な部分は、トラウトの生息地を保護し、その価値を高めることに気をかけることです。そのことはまた、トラウトが生息している地域に生息している固有種の利益にもなります。

※1 iwiとは、マオリ族の構成の単位http://hiroshima.cool.ne.jp/lobster3/maori/maori3.htm

以上の記述によれば、
・ニュージーランドへのトラウトの移入は1867年と古く、現在はニュージーランドのほとんどの地域に拡散している
・トラウトはスポーツフィッシング対象種として人気があり、広く拡散してしまっているので積極的に除くことはしない
・ただ、影響があることも事実であり、固有生態系を脅かす可能性のある一部の地域では何らかの対策が必要であるという認識ももっている
ということですから、トラウトが「無罪」というわけではないみたいですね

また、Yahoo掲示板のChironomid_rev2さんの指摘によりますと、
「ニュージーランドだけでもオコジョ・ポッサム・ヤギ・ネズミ・ウサギ・シカ 等々、様々な侵入種に対して「駆除政策」を行っていますね。
そんな中で、移入種であるトラウト類を行政団体F&G(フィッシュアンドゲーム)が資源として保全している点を、海外から非難されていると記憶しています。」
ということみたいです。私たちの知らないところでこういう話もあるのですね(事実ならば)。やはり情報の共有化というのは大切なものだと痛感しました。


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